『最初のアレグロの真ん中に、聴いてくれている人が喜ぶに違いないと、 ぼくが作曲中に考えてたフレーズがあったのです。 聴いてた人たちからは、すさまじい拍手が、ワッと起きました。 ぼくは作曲してる時に、どれだけの効果をこのフレーズが発揮するか もうわかっていたので、同じフレーズを曲の終りにも置いといたのです。 曲の終りに来ると、「ダ・カーポ!」という叫びや歓声が上がりました。 ・・・(中略)・・・ 弱音ははじめの8小節だけで、それが静かに始まると、 お客さんは「シーシー、静かに」と言い合っていましたが すぐフォルテに入ると予期した通り、とたんに、拍手しはじめたのです。 ぼくはとっても嬉しかったものですからシンフォニーが終わると、 すぐ宮殿に行き、大きなアイスクリームを食べてから、ロザリオをくくり 感謝のお祈りをして、いっぱい遊んでからお家に帰りました。(後略)』 これは、この週末読む本の、序章にでてくるモーツアルトの手紙の一部。 本の名前は、SERIOUS MUSIC AND ALL THAT JAZZ (Henry Pleasants) クラシックの音楽家は、聴衆の反応からも多くを吸収し、学んだ。 素晴らしい演奏は、即座に割れるような拍手と叫びや足踏みで、むくわれた。 今の時代ではポップスが、ジャズが、ロックが当たり前にそうしているように。 それは、音楽の、コンサートという形式の、自然な姿。 クラシックのコンサートで曲が終わるまでじっと待っているような、 20世紀的な、異様なことはなかったのだ。 なぜクラシックがポップスと別れたのかは、ずっとあとの最近の時代の話。。。 なんでこうなっちゃたのか、ぼくなりの考えはいっぱいあるけど、 きっとこの本も、考えるテーマを色々くれると思う。 ぼくはまだ、音楽を聴いている時、うめき、叫び、喜び続けるけど。 (いくらいい曲でも、そうじゃない演奏なんて・・、聴きたくない)
2005.09.22